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【人事担当責任者に聞く!】唯一解が存在しない「組織」という難問に取り組み続ける人事という仕事-人事担当執行役員 永井-

2021年10月から8期目に入ったスマートドライブ。新年度に入り、これまでの遍歴やこれからの事業戦略や新たなサービスを各セクションの責任者にインタビューし、複数回掲載いたします。第1弾は2015年にスマートドライブの3人目の社員として入社をした人事担当執行役員の永井です。就業規則すらない状態から始めて早7年、これからの組織の在り方について聞きました。

永井のパーソナルなプロフィール等は過去の社員インタビュ―で話しておりますので、下記よりご確認ください。
https://blog.smartdrive.co.jp/employee-interview-nagai/

制度も何もない中でのスタート…試行錯誤してきた中での現在地

まず、過去の記事で入社動機の一つとして「できるだけアーリーステージからチャレンジできる」と話していましたが、入社から約7年経った今、振り返って見るといかがでしょうか?

とにかくあっという間だったという感覚ですね。もちろんまだ道半ばではありますが、振り返ってもう7年かと思うと、いかに当初の見通しが甘かったかを思い知らされます(笑)3人目の社員として入社したことで、否応なしに最初から物事を「会社目線」で考える必要に迫られました。それまではいち社員としての視点でしか仕事をしてきたなかったなということに気付かされたわけですが、それが個人的にはアーリーステージの組織に参画する大きなメリットの1つだと思います。それから7年、実にいろんなことがありましたが、おかげさまでまったく飽きることなくここまでやってこれています。

その中でどのようなことを心がけてきましたか?

前職のGoogleという会社では、適切な表現かはわかりませんが、社員にとっては天国のような環境でした。給与待遇はもちろん、毎日3食無料で食べ放題で提供され、ドリンクやスナックも無限にあり、ジムの会員費も無料、裁量労働でアウトプットさえ出せば何も文句を言われないという、非常に贅沢な環境でした。一方で、人間はどんな環境にも慣れてしまう生き物なので、Googleの環境でさえ不満を口にする社員は信じられないほどたくさんいました。

そういった特殊な環境を経て、まだ何もないスタートアップにジョインしたわけですが、当然Googleの時のような環境をベンチマークにして整備していくわけにはいきません。分相応というか、会社組織にはステージに見合った環境というのがあると思いますので、まずはそれをちゃんと見極めていくところからのスタートでした。

スマートドライブでは、スタートアップという一般的に言えば大企業よりも個人の裁量が大きい環境において、その利点を活かしてできるだけ個人が自ら考えて意思決定できる余白を用意したり、ルールで縛るのではなく性善説をベースにゆるい枠組みでやってみる、ということをこれまでいろいろ試してきたと思っています。

もちろん、そういった緩さを逆手に取る社員もいなかったわけではありません。ただ、そういう社員に合わせてルールをつくってしまうと、他の多くの社員にとっては非常に窮屈なものになってしまうので、それは避けたいと思ってやってきたというのはあります。

スマートドライブはコロナ禍の前からフレキシブルな働き方の印象があります。

当初は完全な裁量労働制でやっていたので、いつどれだけ働くかということにもかなり自由度が高かったのですが、全員が全員そういった枠組みの中で高いアウトプットを出せるというわけでもなく、結果として人事評価の際の擦り合わせが大変だったりもしました。そもそも社員と会社の期待値のすり合わせが細かくできていてはじめて裁量労働がワークするのだと思いますが、そこが甘かった時代もありました。

現在は所定労働時間(1日8時間)を定めていますが、コアタイムもあってないような形にはなってまして、どう8時間働くかは各人の家庭の事情などもあるので、本人たちに任せています。ただ、サステナブルに働いてほしいので、日中は家事メインで夜間だけ働くというようなことはやめてもらうようにお願いしています。

極論、本人が一番アウトプットを高めやすい働き方をそれぞれが実践すれば良いのだと思いますが、とはいえ労基法上、会社として許容できない働き方はありますし、会社は組織ですので、組織としてのアウトプットを最大化する必要があるので、自分さえよければいいという働き方をする人たちの集合体だと会社としてのアウトプットがイマイチだったりします。

そういった意味では、組織・チームとしてのパフォーマンスを最大化させるための働き方を、その組織を構成する社員たちの特性や、会社や事業のステージなどに合わせて適宜調整しながら進めていく必要があると思っています。

WeWork新橋に入居していた2018年ごろ(右端上が永井)

組織の成長にはマインドセットだけでなく、組織構造の変化も

今後、さらに事業拡大していく中で、どのような組織にしていきたいですか?

すべての会社がこういう組織を目指すべきだ、というような理想や指標が自分の中にあるわけではありません。結局はその組織の中にいる人たちによって何がベストに近いのかというのは大きく変わってくると思いますし、外部環境の変化によっても組織は変えていく必要があるので、何が良いのかというのは常に相対的なのではないかと考えています。

一時期「ティール組織」や「ホラクラシー」という言葉がバズりましたが、世界中で組織の形をアップデートしていこうとしている人たちが常にいて、自らを実験台にして刺激的な試み行っている中で、これまで多かったピラミッド構造の組織へのアンチテーゼというか、フラットで明確な上下関係がなく、情報の透明性も高いという新しい組織のありかたに世の中の注目が集まりました。

そういった組織内では、「役割」はあってもそこに上下関係はなく、Slackなどをはじめとする社内コミュニケーションや状況共有がすべてパブリックに行われたり、全社員の給与情報を社内だけでなく社外にまで共有されていたりなど、かなりエクストリームな事例も見かけました。

そういった組織実験的な取り組みが世の中ではあったりする一方、自分たちの組織としてどうあるべきなのかというのは、その時点で会社の事業がどういうフェーズにあり、どういったマイルストーンを達成しようとしているのかによって、どういった組織施策にトライしてみるのが良いかが変わってくるのではないかと思っています。

ちょっと回答になってないかもしれませんが(笑)、状況に応じてフレキシブルに変化させることができる、ということが大切なのではないかと思っています。

社員が増えていくにつれ、フラットや透明性というのは薄れていくと思うのですが。

はい。そういった影響を受けずに会社が大きくなることはないと思います。大きくなればなるほど、全員フラットという状態であるのは意思決定において難しさが出てくるというか、結局誰がどう意思決定するのかというのが、役職や権限として付与されてないとなると、毎回フラットに多数決で決めるのかとか、反対意見を全員説得しなければいけないのかとか、想像するだけでも大変な気がしています(笑)

ただ、従来通りピラミッド型で巨大化していくと、意思決定や承認プロセス等も官僚的にならざるを得ない部分がでてきますし、スピードも遅くなったり、ピラミッドの上にいくための社内政治なども出てきたりなど、よくある組織課題にも晒されます。

組織をある程度小さい単位にとどめて早く意思決定をしていくことを促すという意味では、例えばサイバーエージェント社でやってきているような事業部を子会社化して若い人材を経営陣に抜擢して裁量を持たせるという活性化の方法もあるかと思います。組織として成長しつつも官僚的にならないようにしていくためには、組織構造としていろいろ工夫が必要だとは思っています。

まだ社員が数人だった2016年頃(右奥が永井)

現在、スマートドライブの社員は、ほぼ中途採用の方が占めていると思います。言い方が少し悪くなるかもしれませんが、中途採用=流動性の高い人材のイメージがあります。社員をスマートドライブに引き止めるために行っていることなどありますでしょうか。

これはいろいろ考え方があるとは思いますが、個人的には、職業選択は個人の自由意志によるものなので、会社が個人を引き止めるというのはできないと思っています。だからこそ、社員が自らの意思で働き続けようと思ってくれる環境をつくっていくことが大事になるわけですが、先程例に出したGoogleのような、待遇や福利厚生的な意味においてもなかなか他を検討できなくなるような状態をつくってしまう、というやり方も1つだと思いますが、普通の会社はそういう環境を用意できるわけではありません。

となると、よく言われてることですが、できるだ社員個々人が自身にとって魅力的だと感じるチャレンジを社内でできるように工夫できるところはしてあげる、ということに尽きてくるのではないかと思います。社外を見渡さなくとも社内に十分トライしたいことがある、という状況は強力な退職抑止にはなると思いますので、もちろん言うは易し行うは難しではあるのですが、チャレンジを促し、積極的に未経験領域にもアサインしてあげれるようにするというのは1つの有効な手かなと思っています。

もちろん、これに関してもスタートアップ環境では皆にそういったチャレンジを都合よく提供できるわけではないことの方が圧倒的に多いので、簡単ではないわけですが、少なくとも1on1の中でも適宜そういったニーズを拾い上げてアサイメントを調整するとか、本人たちに意思表示してもらってそれを後押しできるようなことがさらにできていくといいかなと思っています。

あとは、我々はこれまでの社会にはなかった新しいサービスやデータプラットフォームを世の中に提供していこうとしている会社でもあるので、日々の業務にしっかり向き合いつつ、一方で中長期の壮大な未来に対する目線も下げずにいることで、大きな社会課題の解決に向かっているんだということを忘れないようにするというか、みんなで巨大な目標に立ち向かっているんだという自己を超えた社会性や人類への貢献に取り組んでいるんだということを実感できるようになっていくと、会社のビジョン・ミッションと個人のベクトルを合わせやすくなっていくのかなと思っています。

一方で、今年の4月に初めて新卒が入社しました。新卒を採用した経緯を教えてください。

今年の4月1日にスマートドライブ初の新卒が入社しましたが、入社した臼井は入社前の1年半ほど弊社で学生インターンをしていました。そういう意味では真っ新な新卒を採用したわけではなく、すでにインターンとして活躍していた学生をそのまま社員にコンバートしたという形です。

今後も組織が大きく成長していく上で、新卒や若手の採用というのは割合的にも増えていくと思っていますが、臼井に続くインターンからの新卒採用というケースは今後も増やしていければと思っています。弊社のような規模のスタートアップでは、そういった形で採用していく方が採用後のミスマッチも起こらず双方向的に良い採用だと考えています。インターン希望の学生の方がいらっしゃればぜひお問い合わせください!

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