青木 仁志(あおき ひとし)
エンジニア
まずは大学時代のことを教えてください
大学では理工学部で情報系学科を専攻したんですが、正直そこに深い理由はなくて、そもそも育った家の価値観として父親やその家系の男は皆理系あったこともあって、「男は理系だろ」という雰囲気があり(笑)、自分もそこについては改めて考えるということもなく理系に行きましたね、教科として数学や理系科目の方が好きだったので。
理系の中で情報系を選んだのは、小さい頃から家にパソコンがあって、それを触ったりするのが好きだったからですね。Windows 95とかの時代で、少しプログラミングもやってみたりしていました。大学では、ソフトウェア工学をやってたわけですが、大学院に進んでからは、今で言うところのクラウドのはしりのような、並列計算とかそういうことをやってましたね。
新卒での就職はどうしたのでしょうか?
大学院で勉強した並列コンピューティングとか、学問領域としてはすごく面白かったんですが、実社会でどう役に立つのかという意味では、当時は正直あまり実感がもてなかったということがあって、その延長線上で就職するのはピンとこなかったんです。
それで、当時から好きだった写真とかカメラのことを考えた時に、カメラメーカーに行って自分が好きなものに携わるというのもありかなと思って、結果的にはキヤノンに就職することにしました。当時の大学院の研究室の同僚たちは、博士課程に進んで研究を続けたり、民間に就職するにしてもNTTとかIBMとかそういうところに就職する人が多く、メーカー系に行く人はあまり多くなかったですね。
研究領域との関連性より、個人の趣味に寄せて就職先を選んだわけですが、プラスアルファの理由として、長期休みが比較的取りやすいというのもありました(笑)当時インターネット上にもそれなりに情報は出ていて、メーカー系は有給休暇が取りやすくて、中でもキヤノンは特に取りやすいとありました(笑)
いつから旅が好きに?
旅に興味を持って行き始めたのは大学生の頃ですね。親から影響を受けたとかではなくて、むしろうちの親は海外旅行に行ったことすらなかったので(笑)、自分が連れて行ったのが両親にとっての初の海外旅行になりました。
自分自身の初の海外旅行について言うと、僕は昔からサッカー観戦が好きでセリエAの試合とかよくTV観戦していたんですね。それで、いつかイタリアで実際にスタジアムで観戦してみたいなという思いがありました。
自分が大学3年生の時に日韓ワールドカップがあって、その時にイタリア対クロアチアの試合のチケットが取れて観に行ったんですが、そこで知り合った陽気なクロアチア人がクロアチアはいいところから遊びにくればいいじゃないと言ってくれたのもあって、最初の海外旅行はクロアチアとイタリアになりました(笑)
まずクロアチアを観光して、南にあるドゥブロブニクという港町から、アドリア海を挟んでイタリアのバーリという町まで船が出ていたので、夜に乗って朝には対岸のイタリアに着くという感じ国境を跨ぎました。で、ローマで念願のセリアAの試合を観戦したのですが、これが僕の初の海外旅行です。
そこからは海外旅行のペースがグッと加速しまして、結果として社会人になる前までに50-60ヵ国まわりましたね。よく「どうやってそんな多くの国に行ったの?」と聞かれるんですが、大学(学部)は3月に卒業だったのですが、大学院を秋入学、秋卒業したために半年のフリー期間が2回あったんです。この期間にかなりの数を回りました。
この時は南米やアフリカを中心に回ったんですが、こういう地域は社会人になってからだとなかなか行く機会がないかなと思って、下手したら最後のチャンスかもしれないと思って先に行っておこうと思って回ってた感じですね。ただ、結局は社会人になってからも結構南米・アフリカには行きましたが(笑)
旅へのモチベーションは?
ひとつは写真を撮りたいというのもありますし、あとは現地の人との触れ合いかもしれませんね。旅をとおして友達もできますし。改めて何でこんなに旅が好きなのかと考えると自分でもよくわからないところはあるんですが、とにかく楽しいんでしょうね。
ただただ風景を見てたりとか、市場(いちば)を見て回って現地の人たちの生活を知るとか、国や町が変われば人も変わりますし、そういう中で写真を撮りながら時間を過ごすというようなことが楽しいですね。あとは、子供が好きなので、現地の子供たちとサッカーしたりもするんですが、そういうのも楽しいですね。
今は子供も2人いて、さすがに昔のようには海外旅行には行けなくなりましたが、今後も時間を見つけて続けていきたいですね。世界のすべての国をまわり尽くしたいというのはなくて、その時その時で心が赴くところに行きたいですね。
キヤノンではどんな仕事を?
新卒でキヤノンに入って、初めて組み込みソフトウェア開発の世界に踏み込みました。組み込みの開発というのは、最新の技術や手法をどんどん取り入れて開発していくような性質の開発ではないというのをまず理解しました。そういう意味では、自分が大学でやっていたソフトウェア開発と比較すると、ちょっと遅れたようなことをやっているという印象があって、最初は驚いたわけです。
工数はかかっているのだけどあまり生産的なことができていない、みたいな感覚がありましたね。もっと効率化できるのになと思いつつも、そういうやり方を導入しづらい組み込み開発特有の事情や歴史的な背景というのも働いていくうちに理解していきました。組み込み開発では、製品原価を下げるためにコスト制約が厳しい上に、不具合が発生した場合にアップデートをかけるの容易ではなく最悪の場合は回収といった事態も起こりえるので、何事も慎重に進めていく必要があるんですよね。だから新しいやり方を導入するのにそれなりの検証やプロセスを踏んでいかなくてはならないことも、しょうがないわけで良くも悪くもその環境に順応していきました。
結局、新卒から10年間働き続けることになったわけですが、35歳に近づいていくにつれて、「この後どうしよう?」とリアルに考え始めるようになりました。最近はそうでもないと思いますが、一昔前は「転職するなら35歳まで」みたいな定説があったので、35歳が目前に近づいてくるにつれて、実際の転職を意識しはじめるようになりました。
転職活動の軸は?
で、次の仕事を考えてみたときに、キヤノンではデジカメとかプリンターの組み込みソフトをつくるというよりは、プラットフォーム的な汎用的に使えるようなソフトウェアの開発に携わっていたので、今後もそういう開発がしていきたいなという思っていました。ソフトウェアをできるだけきれいに効率的につくろうとするのが好きですし、その思想はプラットフォームを開発する上で活きるので、うまくコンポーネント化して様々な製品と連携がしやすかったり、取り回しのしやすいものにできるように心がけています。
そういう意味では、サービスやプロダクトそのものをつくるというよりは、一歩下がったところでプラットフォームなどの開発ができるような仕事を探していました。あとは、ちょうど子供が生まれたタイミングでもあったので、子供たちが大きくなっていく時に役に立ったり、その世代の社会に良い影響があるような事業に関わっていきたいなという漠然とした思いもありました。
大企業とスタートアップの違いなど
働く環境という意味では、キヤノンで経験したような大企業でまた働くとなると、どうしても自分が担当できる範囲は狭くなってしまう傾向はあると考えたので、次の環境としてはシステム全体を把握しつつ、自分が携われる範囲もそれなりに広い方が自分のスキルアップのためにはいいなと思っていました。
狭い領域で仕事していると、その会社を出た時にも通じるような汎用的なスキルを身に付けるのが難しいと考えていました。大企業は、その会社独自のシステムやフレームワークなどが使われていたりして、オープンソースだったり世の中で使われている新しい技術を試してみたりすることも難しかったりするので、できるだけそういうしがらみがないところでやってみたいとも考えてました。
そうなってくると、やはりスタートアップの環境は魅力的だなと。また、業界という意味では、自動車業界はいろんな意味でこれから大きく変わっていく節目に差し掛かっていたということもあって、そもそも注目していたということもあって、うちの会社を知りました。
スマートドライブに入社してみるまで、大企業とスタートアップとで働き方や考え方が実際にどう違うのかというのはあまりイメージがなかったのですが、入ってみてから気づいたこととして、やはりスタートアップはリソースの制約という意味でも、例えば製品の品質を担保する上で大手のような何重にも品質チェックをするとか、丁寧かつ時間のかかるフローが組み込めなかったりします。制約があるのが前提で、プライオリティをつけながら進めていくと。
一方で、だからこそ自分が当事者となって責任を持ってやらなければいけないことが多く、それがゆえに裁量も大きいと。それは表裏一体なんだということを理解しましたね。
自分がスマートドライブに入社を決めた時に、ちょうど同時期に転職活動をしていたキヤノンでの先輩の濱地もうちに興味を持ってくれて、結果ほぼ同時に入社することになったわけですが、よく知っている同僚とまた一緒に働けることになったというのはうれしかったですし、入社直後からとても仕事が進めやすかったですね。
今後取り組んでいきたいこと
前職ではずっと組み込みエンジニアとしてやってきて、スマートドライブにも組み込みエンジニアとして入社したのですが、現在はバックエンドの開発も任されており、いろいろな技術分野に深く関わることができてとてもやりがいを感じています。ファームウェアやデバイスだけとか、バックエンドだけとかでは、なかなかシステム全体としての最適化とか効率化とかなど実現できないので、今後も担当領域にとらわれずやっていきたいですね。
また最近ドラレコや二輪の車載デバイスなどとの連携が加速してきていますが、今後もさまざまなセンサデータを収集できる基盤を整えていって、いろんなセンサーデータを収集しているスマートドライブのプラットフォームだからこそ創出できる新たな付加価値やサービスを提供していき、社会に貢献していきたいです。
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