• facebook
  • twitter
  • rss

【社員インタビュー】「世の中が一歩前進した」と明確に伝えられるような会社にしていきたい

今回のInterviewee:岸田 崇志(きしだ たかし)
タイトル:CTO/サービス開発責任者

まず、エンジニアを志したきっかけを聞かせてください。

話は1995年まで遡るのですが、当時日本では「インターネット元年」と持て囃されており、これから世の中が大きく変わっていくチャンスだと感じました。そこで、自分の人生はインターネット業界を進化させるプレイヤーの一人として活躍したい!ということを高校生ながらに強く感じました。

ちょうどその頃、理系の学生だと進学先は一般的には電気工学や電子工学などハードウェア寄りの選択肢が多かったのですが、あまり興味を持てなかったので大学ではコンピューターサイエンスやインターネット技術について学べるところを探し進学しました。

大学時代の研究では、「いつでも」「どこでも」「誰とでも」というインターネットの基本概念をいち早く実現したいと思っていました。そのためには映像伝送や音声伝送の技術を進展させる必要があったので、それに主軸をおいて研究をしました。当時はまだインターネット黎明期でお手製の FreeBSD にATM (Asynchronous Transfer Mode:非同期転送モード) ボードを差して専用線への接続などもやらせてもらったので、今から考えるととても貴重な経験をさせてもらったんだなと思います。

印象に残っているプロジェクトの1つとしては、「離れた小学校同志でインターネット上で合唱をする」というのがありました。当時2002年だったのですが、小学校にはICTはほとんど導入されていませんし、PCもないので、大学で使っていた大きなタワーPCをその小学校の音楽室に持ち込んでセッティングするという大掛かりな準備が必要でした。

さらに、当時のインターネット回線は今と違ってかなり遅かったので、広域イーサネット網を組み、ネットワークの検証から実施しました。インターネット上で遠隔合唱をするのはネットワーク遅延や揺らぎを解消する必要があり大変だったのですが、それを解決するためのアプリケーションも開発したりして、とても苦労しました。

最終的に成功した時に子供達が目を輝かせていたのを目の当たりにして、インターネットやコンピューター技術は人の心を動かしたり笑顔を増やしたりできる可能性に満ちていると実感して、この領域で自分の力を活かしていきたいと思ったのを覚えてます。

大学ではなぜ博士課程まで進んだのでしょうか?その後どう役に立ちましたか?

博士号を志した理由の1つは、先程の遠隔合唱は世界でもとても新しい試みだったため海外の国際会議で発表する機会を頂けました。そこで、海外の研究者やエンジニアと交流し、それがとても刺激的だったということがあります。

2つ目は、スタートアップで生き残るためには他社では実現できない技術を有する必要があり、「テクノロジーを深めること」と「戦略的に使う能力」を養いたかったためです。現に、海外ではエリック・シュミット(元Google CEO)など当時IT業界で活躍していた人たちの多くが、コンピューター・サイエンスの博士号を持っていたという事実を目の当たりにして、やはり技術中心のテックカンパニーで活躍していくためには博士課程に進んだ方がいいのではないかと考えたというのがあります。

これは後になって分かったことですが、博士課程で世の中で他の人が実現していない課題を解決するというアプローチは結構大変ではあったのですが、その経験があったからこそこれまでスタートアップの世界で生き残れていると感じているんです。

博士課程では、仮説を立てて、全部一人でプロトタイプつくって検証して、他人が理解できる形でプレゼンまでしないといけないじゃないですか。そのサイクルってスタートアップとすごく近いと思っていて。毎週進捗を説明して、それが計画通り進んでいるのかどうかや課題があったときに技術的ブレイクスルーを発見するのとか、当時はきつかったんですが、それがあったからこそ、その後のキャリアにおいてそのサイクルを回すのがキツイと思わなくなりました。

博士課程修了後は、大学に残って研究者や大学教授になるようなアカデミックなキャリアは考えてなかったので、そういう意味では自分は博士課程の学生の中ではマイノリティだったと思います。

大学での研究職を目指さないのであれば、あえてこんな大変な博士課程をやらなくても…と思わないわけではなかったのですが、卒業後5年経ったくらいからですかね、当時の経験が仕事においてすごく活きてると実感し始めました。

仮説を立てて実装し、検証するというサイクルは、先程述べたようにスタートアップの活動サイクルと同じなので博士課程進学者はもっとスタートアップ業界にチャレンジする人が増えたらいいなと思います。

当時はキャリアに関してどう考えていたのですか?

前述のように、アカデミックな領域に進むことは考えていなくて、民間企業で事業に関わっていくことを志向していました。在学中も仕事を請けて開発するようなこともしたりしていましたし、起業も考えたりはしていましたが、当時は広島にいたのでチャンスの幅が限られる印象もあり焦りがありました。

それで博士課程修了後は、自分の専門性も活かすためまずは東京のネットワークインテグレータに勤めました。その後、当時まだエンジニアも30人程度のだったグリー(GREE)に転職しました。ここからがインターネット業界におけるキャリアの始まりになりました。

飛び込んでみたものの、グリーには優秀なエンジニアが多くいたので、まずはそこの一員として認めてもらうことに必死でした。

自分の担当しているサービスが、DAU(Daily Active User)が100万overだったりもしたので、トラフィックもものすごくサービス設計や負荷分散など生きた形で学べたのはとてもいい経験になっています。

サービス開発では、ずっとプレイングマネージャーとしてやっていたのですが、グリー時代はまだマネジメント経験も少なくて、経営陣としても未熟でした。そこで、先人たちの知恵から学べる情報に飢えていたため本を読んでそれを実践したり、複数の組織で事業の立ち上げを行っていく中でいろんな経験をして、結局2,500人くらいの組織になるフェーズを経験できたのはとても良かったですね。

その中で得た学びや経験を、また別のスタートアップで還元していきたいと思いCxOとしての経験を積んでいます。グリー時代の自分は「成功のスキーム」という型があって、一度経験すればそれを適応していくことで大抵上手くいくんじゃないかと考えてたところもあったんですが、当たり前ではありますが実際はやはりそんな銀の弾丸みたいなことはなくて、組織やフェーズが違えば機能しないことなんて多々ありました。

なので、その場その場での人と人との化学反応がとても大切なんだと思うに至りました。今は、「勝つための化学反応を起こせる組織」を創っていくというところに興味があります。

CTOの枠割りとは?

一般的には、CTOはコーディングスキルが高い人というようなイメージが強いと思うのですが、きれいなコードが書けたら成功するという単純な話でもないので、実際コーディングはCTOの役割の一つでしかないと思っています。

とりわけ、急成長している組織であればフェーズによりCTOの役割もどんどん変化していくので、コーディングやシステム設計以外にも、組織や事業全体を見たときのバランスやメンバーの育成、開発プロセスの整備など、様々な要素を勘案して組織全体を臨機応変にアジャストさせる組織全体のアーキテクトというのがCTOとしての重要な役割だと考えています。

技術的な意思決定ミスをできるだけ避けられるように、コードにも触れながら技術にはちゃんとキャッチアップしておくことも大切だと思っています。1つ技術的な意思決定を誤ると、そのせいで数ヶ月、数年単位で開発に遅延が発生するような事態につながることもあるので、CTOはその最終的な責任を追いつつ、攻守のバランスをしっかり見ていく必要があります。このあたりはCTOとして数社経験する中で、ジョインするタイミングにより、難易度が変わるなあと痛感しているところです。

あとは、経営的な目線で心がけているのは、3ヶ月後、6ヶ月後、1年後のプロダクト・サービスのあるべき姿を前もって道筋立てて考えておくということです。これは判断軸をしっかりと持っておくという意味です。

特にスタートアップは日々変化が激しいので、中長期的なあるべき姿のイメージをしっかり持った上で変化に対応するのが大事で、迷いや問題が生じた際にも立ち返るものがしっかりあるというのが、成功確度を上げるためにも大切だと考えています。

組織のことでいうと、先程の化学反応のことで言えば、社員が1,000人、2,000人と増えていっても、当然ではあるのですが人数に比例して100個、200個とヒットプロダクトを量産できるというわけではないです。

そうすると、そういう勝てるプロダクトを生み出すためには、AさんとBさんの掛け合わせが鍵になっているとか、二人で話す中で「パパパッ」とアイデアが形になったりと化学変化によって突き抜けていく空気を感じられることがあるんですよね。

実際ヒットするプロダクトが生まれる瞬間はそんな空気が例外なくあって、それが大事だと思っています。要はそういうコンビネーションも含め、良いアイデアを具現化する土壌を作るということが大事だと思っています。

プロダクトやサービスをつくり運営する上で、良い意味で属人的というか、「この人がもしいなくなるとやばいぞ」と感じるような、つまり、リプレイスできないレベルで価値を発揮している人材が何人いるのかということが本質的に重要です。

グリーにいた当初は、組織が大きくなっていく中で、自分の経験不足もあり、変に工業化した組織を作ってしまっていた気がします。マネジメント論などの本は第二次産業が例になっているものが多いため、今のインターネット企業では額面通りに受け取っちゃいけないものもあるんですよね。工場で大量生産して勝つ産業では無いので。

例を出すと、組織力を強くする=誰が急に抜けてもカバーする人がちゃんといる体制にしていくとは違うということです。汎用的な組織を作るということは、逆に言うと、代理が効かないようなパフォーマンスを出すには至ってないということと表裏一体ということです。

極論、「その人じゃないとできない」ことをやってもらうことで、そのチームのアウトプットも最大化して、結果としてその人のモチベーションも高くなりますよね。ですから、「この人が辞めたらどうなるんだろう…」みたいな懸念がある状態というのは、リスクはあるものの、必ずしも悪いことではなくて、特にスタートアップではポジティブな側面がかなりあるんだと。これは大きな学びだったなと思っています。

スタートアップだと、そもそも「誰が辞めてもやばい」というギリギリの状況で運営しているケースも多いと思いますが、だからこそいかに勝てる化学反応を起こすかが重要になると思うわけです。

ですから、良い意味での属人化が認められる組織というのは、エンジニアとしても働きやすい環境なのではないかと思うんです。あまりカチッと組織化せず、個々人の強みを活かせる範囲で一定レベルの属人化を残すというやり方ですね。

各人の強みをサービスの強みに昇華させ、偶発的なアイデアをお互いに出し合える組織だからこそ、革新が生まれていくのだと思います。いい意味で、今のプロダクトは今のチームでしか作れないと感じられるような、そんなチームづくりをしていきたいと思っています。

その上で、事業やプロダクトを通して社会問題を解決できる、世の中に貢献できる、かつみなさんに使ってもらいやすい、そのステージまで持っていくことができてこそ達成感というのがついてくるのかなと思います。

CTO, CPO, VPoE, CIO の役割分担とは?

前職ではCPO(Chief Product Officer)という肩書きで仕事をしてました。つまりプロダクト全体の責任者としての役割ですが、日本ではCTOの職務内に含んでいる会社も多い気がしています。サッカーで例えてみると、CPOはサッカーでいうところのフォワード(オフェンス)の意味合いが強く、エンジニアリングを事業成長につなげる攻めの要という感じでしょうか。

その後ろに、ミッドフィールダーとしてのCTOが控えていて、戦況に応じてオフェンシブにもディフェンシブにも柔軟に動いていくというイメージです。そしてその後ろには、VPoE(VP of Engineering)がディフェンダーとして守備を堅めていて、エンジニア組織の人的なマネジメントであったり、会社が成長・スケールしていく際の縁の下の力持ち的存在としているイメージです。

最後のゴールキーパーとしては、CIO(Chief Information Officer)がいます。セキュリティや情報統制など、会社として失点するわけにはいかないところをしっかり守る役割です。

この4つのポジションを、会社のフェーズに合わせてCTO1人でやったり複数人でカバーしたりと状況に合わせながらフォーメーションチェンジしながらエンジニア組織を成長させることはとても面白いですし、会社によっての戦略になってきますね。一段上の組織マネジメントになりますが、そのあたりもとても奥深いなと思っています。

スマートドライブでの自身の役割とは?

まず、自分の得意とするところは課題を解決するプロダクトを創ること、そしてそれを創るチームを創ることです。そこに貢献していきたいと思っています。

前述したように、テックベンチャーではプロダクトによる課題解決が会社の原動力となると確信しています。

「時を告げるのではなく、時計を作る」というビジョナリーカンパニーの一節は常に心に刻んでおり、様々な会社でエンジニアドリブンのプロダクトチームを作っていくことを自分のライフワークにしています。

グリー以降も、教育・福祉の分野で、CTOとしてエンジニア組織の立ち上げをやったり、金融業界でCPOとしてプロダクトチームの組成をしたりと、プロダクトにまつわる仕事をやってきました。スマートドライブでも主にMaaS領域においてアプローチすることでどんなチームが作れるか、どんなプロダクトが作れるかが自分としてチャレンジしていきたいところです。

2つ目は、「スマートドライブによって世の中が一歩前進した」と明確に伝えられるような会社にしたいです。今は車両管理などの車に関するサービスを扱っていますが、日本のものづくりの技術に我々のデータサイエンスを掛け合わせ、一般的に日本が弱いとされるハードウェアとソフトウェアの掛け算にブレイクスルーを起こすようなプロダクトを生み出したいと思っています。

海外展開もしやすい分野なので、トヨタやホンダなどに代表される日本の強固なハードウェアに、プロダクトもセットになるような形で世界中に展開したいです。

また上記をエンジニアドリブンで組織を動かして事業を成功させることも目標です。これもある意味ライフワーク的な目標ですね。海外では元エンジニアがCEOになって事業を作るケースが多いのですが、日本ではまだまだ少ない状態です。グリーやウェルスナビで働いていたときもそういった組織を作って事業を前進させるようなチームを作ってきました。

テクノロジーと経営を紐付け、それを組織として担うというか、そういった役割がCTOとして重要なポイントだと思っています。MaaSはテクノロジーがなければ始まらない領域ですから、上手くビジネスと技術を融合させ社会に影響させることができるような役割を担えたらと思っています。

関連記事

TOP