• facebook
  • twitter
  • rss

“Connect the dots” について改めて思うこと

こんにちは、人事の永井です。
みなさまにおかれましては、Stay Homeで充実したGWを過ごされましたでしょうか。

自分は家族と一緒にほとんど家で過ごしたわけですが、ここぞとばかりにNetflixやYouTubeなどいろんな動画コンテンツをランダムに消費する毎日でしたが、その中で改めて気づいたことや考えたことを、数回に分けて共有させてもらえればと思います。

今回は、あまりにも有名なスピーチではありますが、スティーブ・ジョブズ氏のスタンフォード大学でのスピーチを改めて聞いてみて思ったことをシェアさせてください。

おそらくこれを読んでみるみなさんも、少なくとも一度は観たことがあるという方が多いのではないかと思いますが、観たことがないという方や、改めて観てみようと思った方のために、下にYouTube動画を貼っておきますね。
こちらにはスピーチ全体の文字起こしもあります)

このスピーチの中でジョブズ氏使った「Connect the dots」というフレーズは、その後世の中で広く認知され、至るところで引用されるまでになったわけですが、おそらくこのスピーチを一度もちゃんと聞いたことがないという人ですら、この表現だけはどこかで耳にしたことがあるのではないでしょうか。

今回、自分がハッとしたのは、実はこのフレーズのすぐ後の内容なのです。ジョブズ氏はこう続けます:

"You can't connect the dots looking forward. You can only connect them looking backwards."

「未来を見て点をつなぐことはできない。できるのは過去を見てつなぐことだけだ」ということですよね。

その一例として、大学で履修した「カリグラフィ」のクラスのことを挙げています。彼は大学をドロップアウト(中退)しましたが、そうすると決めた後は、必修クラスで興味がなかったものはすべて取るのやめ、本当に興味がわいたクラスだけは取ろう思い、その時興味を惹かれたカリグラフィのクラスを受講しました。

ちなみに、「カリグラフィ」を辞書で調べると「書道」「能筆」「習字」などと訳が出てきますが、日本ではあまり馴染みがない言葉ですよね。要は美しい書体を書けるように学ぶものらしいです。日本のような墨と毛筆を使わない習字、みたいな感じかもしれないですね。

彼はそのクラスはあくまでも好奇心で受講したので、カリグラフィがその後の人生において実用的かどうかなんて考えもしなかったそうです。

その10年後、彼が初代Macをつくった際に。当時学んだカリグラフィがワーッと降りてきて、世界初の美しいフォントが打てるコンピューターの誕生につながったんだと言ってます。まさに「アハ!」体験ですよね(笑)

"So you have to trust that the dots will somehow connect in your future.

「だから、いつか何らかの形で点と点がつながるんだと信じるしかない」と言ってます。

おそらくみなさんも、自分の人生を振り返ってみて connect できる dots を思い浮かべることができるんじゃないかと思います。

そうやって改めて考えてみたときに、うまく connect した dots というのは、「これをやっておけば将来的なキャリア形成に有利なるだろう」とか「自分の市場価値が上がるはずだ」とか、そもそも狙ってやったことが後々つながったというよりは、当時はとにかく夢中でやってたとか、損得感情抜きにパッションと好奇心に突き動かされてやっていたということが、後々 connect したということの方が多いのではないでしょうか。

計画的・戦略的につくったdotsはつながらないという意味ではなく、ジョブズ氏が指摘するように、他人の意見や雑音に流されず、自身のハートと直感に従う勇気を持つことで、人はそもそも本来的な自分がどうなりたいのか、何をしたいのかということがわかってるはずだから、その inner voice に耳を傾けるべきで、そうしていれば、dotsはあとでつながっていくんだという哲学は、改めて胸に響くものがありました。

"And most important, have the courage to follow your heart and intuition. They somehow already know what you truly want to become. Everything else is secondary."

(一番大切なことは、ハートと直感に従う勇気を持つことだ。ハートと直感は、あなたが本当はどんな自分になりたいかということをすでに知っているのだから。他のあらゆることは、これほど重要ではない)

うーん、繰り返し聞いていると染み渡るように入ってくる言葉ですね。。。

 

また、個人的によく考えるのは、connect the dots できるのは、「出来事」だけの話ではなく「人の出会い」にも言えることだと感じています。つまり人との出会いも過去を振り返ってつなぐことができる点がそれなりにあるんじゃないかと思うわけです。

出会いは、当然ですが、基本的には事前に計画できないものです。もちろん、誰かにお願いして誰かを紹介してもらう、という出会いもありますが、意図しなかった出会いがたくさんあり、その中で様々なきっかけやビジネス、あとは生涯続くような付き合いが生まれたりしているかと思います。

人の縁の不思議さと影響力の大きさは、みなさんもきっと自身の人生をふまえてもひしひしと感じるところなのではないかと思います。「あの人がいたからこそ...」「あの時出会っていたから今の自分がある...」など、いろんな思いが脳裏をめぐるのではないでしょうか。

また、ジョブズ氏は、大学をドロップアウトしたことについて、

"So I decided to drop out and trust that it would all work out OK. It was pretty scary at the time, but looking back it was one of the best decisions I ever made."

彼自身も、ドロップアウトを決めた当時は "pretty scary" だったと言ってますよね。でも、振り返って見れば、人生最高の意思決定の1つだったと言っています。上述のように、ドロップアウトしたからこそカリグラフィに興味を引かれて授業を受けることになったわけですし、そもそも同時自分が何をしたいのかまったくわかっていなかった中で、大学に残ることがそれを見つける糸口になるとは思えなかったとも述べてます。

大学を中退する人は今でも世界中にそれなりの数いると思いますが、その意思決定をする瞬間に「これは自分史における最高の決断の1つになるぞ!ジョブズも言ってたし!」と、そんな確信を持ってする人は多くはないんじゃないかと思います(笑)

少なからず家族を心配させたり落胆させるような懸念はあるでしょうし、親から経済的援助を得て大学に行く人が大半でしょうから、余計にドロップアウトするのは大きな決断になりますよね。ジョブズ氏も「親の貯蓄は自分の学費のためにすべて消えた」と申し訳なさそうに言っています。

かつ、日本においては「一度始めたものは完遂すべき」という美徳もあるので、途中でやめることに対する社会的なプレッシャーもあります。そう考えると、ドロップアウトはいろんな意味でハードルが高い意思決定ですよね。

 

また、これも有名な話ですが、ジョブズ氏は自分が創業したAppleを、なんと一度クビになっています(笑)それについても、

"It turned out that getting fired from Apple was the best thing that could have ever happened to me."

と述べています。

もちろん当時は大変な苦痛だったでしょうし、茫然自失のような期間もあったと想像するわけですが、結果として彼にとってはこれがウェイク・アップ・コールのようなきっかけになり、初心に帰ってチャレンジャーとしてリスタートして、NeXTとPixarという2社を立ち上げます。

多くの方がご存知のようにPixar(ピクサー)はその後トイ・ストーリーをヒットさせ世界に躍進し、NeXTはAppleに買収されたことによって、ジョブズ氏はなんとAppleに返り咲きます。その予期しなかったAppleへのカムバックの後、Macの快進撃を生み出すことになります。また、この期間に奥さんとも出会ってかげがえのない家族もつくっています。

結果オーライどころかスーパーV字回復という感じですが、とはいえ、さすがに解雇されたまさにその瞬間に、「マジか、最高!このどん底から不死鳥のように蘇る胸熱なシナリオしか見えないぜ!」と心底思ったりはしなかったでしょうから(笑)、相当大変だったわけですよね。

こうして考えるてみると、いかに私たちが「look backwards」を通して意味を見出すのかということがわかりますよね。「良薬口に苦し」ではないですが、後で「あれは良い経験だった」と思えることの多くは、その瞬間は辛かったことではないでしょうか。そこで得た学びが、その人の人生を大きく変えたり、成長や躍進を与えるきっかけになったりするのは、もちろんジョブズ氏の話だけでなく、全世界で普遍的なことなのかなと思います。

とはいえ、だからといって自ら進んでピンチや悲劇や不幸を選び取るという境地にはなかなか達することはできないわけですが(笑)

「ピンチはチャンス」という言葉もありますが、まさに現在のコロナウイルスの状況においても、そういうマインドこそが大切なんだろうなと思ったりもします。

コロナウイルスによる世界的な大惨事は、後世に語り継がれ人類の記憶に刻まれることになるレベルだと思いますが、そういった逆境においても、それを糧にして成長・躍進する会社や個人もたくさん出てくる(すでに出てきている)わけです。

弊社も、自分自身も、withコロナの環境下で何が起ころうが「ピンチはチャンス」マインドを胸に、困難や制約の中でこそクリエイティブに、しっかりと前進していきたいと思います。

みなさまにおかれましても、様々な状況があるかと思います。想像もつかないような困難や災難に見舞われてる方々もいるでしょう。ただ、みなさまが何年後かに今日の日を振り返ってみた時、「あの時は本当に辛かった。でも、あれをなんとか乗り越えたからこそ今があるし、この先の未来にも希望が持てる」と思えるように願いつつ、それぞれの持ち場で目の前のことに1つ1つ取り組んでいくのだと思います。

 

最後に、ジョブズ氏がスピーチの中で放った典型的なアメリカンジョークを紹介して、このエントリーを締めたいと思います。

"No one wants to die. Even people who want to go to heaven don't want to die to get there."

(誰も死にたくはない。天国に行きたいと願っている人たちでさえ、死なずに行きたいのさ。)

Best wishes!

関連記事

TOP