今回は、ユーザベースFORCAS事業執行役員CEOの田口様をお招きし、弊社フィールドセールスチームの営業責任者である稲垣に、弊社スマートドライブにおけるSaaSセールス活動や組織についてインタビューしていただきました。
なお、こちらのディスカッションの続きについては、以下の無料オンラインイベントにてさらに熱く語られますので、ご興味がある方はぜひふるってご参加ください!
『SaaSキャリアイベント -顧客やマーケットの課題と向き合う、SaaSセールスの醍醐味とは?- 』
【参加費】無料(オンライン)
【日時】2021年10月8 (金) 19:00 - 20:20
【こんな方にオススメの内容です】IT関連業界でセールス職に就いていて、今後SaaSセールスに関わっていきたい、経営課題を解決できるようなセールスとして成長していきたいと考えている方。
【プログラム】
19:00-19:05
▶︎オープニング
19:05~19:35
▶︎SaaSセールスの「今」と「未来」についてパネルディスカッション
-スマートドライブ 執行役員 CRO レベニュー責任者
‐ユーザベース FORCAS事業 執行役員 CEO 田口 槙吾
-ユーザベース 足立 真理子(モデレーター)
19:35~20:05
▶︎SaaS営業のリアルと活躍人材とは?
- スマートドライブ 営業責任者 稲垣 亮太
‐ユーザベース FORCAS事業 執行役員 コマーシャル担当 吉田 佑弥
-スマートドライブ 長谷川 幸子(モデレーター)
20:05~20:20
▶︎アフタートーク ※任意参加
各セッションで伝えきれなかった内容をアフタートークでお話させていただきます。登壇者への質問などもお答えします。
田口:稲垣さん、よろしくお願いします。まずは稲垣さんの自己紹介をして頂いてもよろしいですか。
稲垣:スマートドライブで営業責任者をしています。コロナ禍が始まった頃に入って1年半くらい経ちました。元々はマレーシアに住んで海外事業立ち上げに取り組む予定でした。暫く日本からリモートで事業開発や顧客開拓に取り組んでいましたが、国内の大手顧客開拓に移り、今は全社の営業責任を持って、営業チームのマネジメントをしています。一部プレイヤーとして大型商談や大手企業との事業開発をやっています。
田口:今はどういう営業チームなのでしょうか?
稲垣:兼務の人もいますが、7人程度のチームでやっています。
田口:マルケトやセールスフォースだとセグメント毎に分かれていると思いますが、スマートドライブもそのような形になっているんですか?
稲垣:はい、規模は小さいですが、7名の中でSMB・MM・ENT・Partner・CustomerSalesと役割を決めています。
田口:マルケトとスマートドライブの違い、ポジティブな部分とネガティブな部分それぞれどんな事を感じますか?
稲垣:いくつかの視点があるんですが、一つは組織の中に製販の機能があるかどうかですかね。マルケトだと本社で作ったものを日本で売る、スマートドライブは同じ組織の中で作る。自分たちの市場を設定して、顧客の課題解決のためにどんな機能を提供して、それをどうやって認知してもらって、導入してもらって、成果を出してもらって、その結果事業を伸ばしていくか、そのための組織はどう作るか、オペレーションはどう作るか。前と比べると変数が増えて大変な事をやっているなあと思いますし、それがやりたくて今ここにいるというのもあります。
もうひとつは柔軟さですかね。事業フェーズや組織の規模ですかね。スマートドライブはまだフェーズが浅いし組織も小さいです。例えばある仮説に基づいてがっちり通年テリトリーを固定してしまうと、その仮説が筋が悪かった時に担当の人は全く成果が出なかったり、他のテリトリーで機会損失が大きくなってしまう。なので、ここはしっかりテリトリーを攻め切るという前提の上で、柔軟な運用をしています。あとはお金の話になってしまいますが、成果報酬が強い給与体系だとこのような柔軟さは出ないかなと思っています。
田口:僕は外資で働いたことが1回も無いので、全然わからない前提で教えてほしいんですけど、営業の立場から見るとそれぞれどう見えていて、プロダクト側にどう関わっているんですかね?
稲垣:まず外資で働いてたときは、外からどう見えているかわからないですが、お客様からの要望を本社のプロダクトチームに届ける仕組みはちゃんとありましたね。
田口:そうなんですね。スマートドライブのプロダクトへフィードバックする仕組みはどうなっているんですか?
稲垣:まずPMMというチームが間に立ってくれていて、プロダクトの大きな方向性・開発ロードマップを示してリードしています。レベニューチームからはslackやTrelloでログを残してそれを議論してロードマップの中に織り込んでいきます。あとは週次30分でマネージャー間でプロダクトの方向性を確認する場があったり、週次1時間でやっている営業チームの勉強会で、プロダクトチームに入ってもらって新しい知識を入れたり、今後の方向性を議論したりしていますし、基本フラットなので各々個別に日常的に話しています。
本質的にはやっている事はそこまで大きく変わらないかなと思いますが、やはりお客様に応えられる内容やスピードは変わってくるかなと思います。
田口:組織全体は何人でそんな構成なんですか。
稲垣:現在は全社で60数名。レベニューチームとプロダクトチームで半々。僕がいるレベニューチームの中に、マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、ソリューションコンサルティング、カスタマーサクセス、カスタマーケア、セールスオペレーション等のチームがある、という感じですかね。
田口:その中で、営業チームのメンバーの皆さんって、日々どんな営業活動をされてるんですか。ありようというか。セグメントによって結構違いそうですけども。
稲垣:二つあって、そのうちの一つが車両管理システムの SmartDrive Fleetです。国内で企業が使っている車が約3,000万台あるんですが、必ず向き合わなければいけない課題がいくつかあるんです。
例えば、事故を減らして社員を守らなければならない、余っている車両の台数を減らしたい、法律で決まっている報告書を書くルールを実は守れていない、とか。実は車を5台以上保有している会社では毎日決まったフォーマットの日報書いて、上司がチェックして、それを1年以上保管するのが義務付けられてるんですよ。ご存知でした?
田口:そうなんですか。全然知らなかったですね。
稲垣:そうですよね。我々のようなIT業界で仕事をしていると日々全く意識する機会が無いですが、企業の総務部門の車両管理担当という方々が日々この課題と向き合ってるんですよね。
田口:面白いですね。確かに意識する事が無いですね。例えば事故減らすってどうやるんですか?
稲垣:車にデバイスを置くだけで、重大事故の手前にあるちょっとした危険な操作を検知して、それを運転している人や管理者が一緒に意識して減らしていく仕組みがあるんです。
田口:そういう事なんですね。面白い。
稲垣:もうひとつは、大手企業との共同事業開発です。興味持って調べて頂くとわかるのですが、スマートドライブは自動車、保険、リース、石油元売、不動産、家電、その他色々な業界のリーダー企業と業務提携させて頂いています。表に出ているのはごく一部なのですが、要は移動データを活用して新しい事業を作る、既存事業を変革していくという事に一緒に挑戦させて頂いています。モビリティ業界の急激な変化が追い風になり、更に二つの事業がそれぞれ相乗効果で伸びていくような感覚でやっています。
田口:なるほど。相乗効果をもうちょっと深掘りしたいんですけど、どうやって相乗効果が起きるんですか?
稲垣:分かりやすい例を挙げるとスズキさんとの業務提携ですかね。スズキさんは今まさに法人向けのコネクティッドサービスを共同開発しているのですが、SmartDrive Fleetをベースにしているものなので、3万台以上で日々使われて出てくる要望に基づいてプロダクトがどんどん進化していくのですが、スズキさんはこのアップデートをそのまま新しいコネクティッドサービスに享受できます。これは両方の事業をやっているからこそ提供できるものかなと思います。
田口:確かにそれは強いですね。
稲垣:もうひとつ例を挙げると、テレマティクス保険ですかね。最近住友三井オートリースさんとのテレマティクス型リペア保険における業務提携を発表しました。デバイスで診断した安全運転の度合いが保険料と連動する商品です。こうやって両方やっているからこそできる事が沢山あるんですよね。
田口:かなりイメージ持ててきました。営業チームのメンバーの皆さんは、それぞれでSaaS営業的な活動と、業務提携の活動と、両方やっているような感じなんですか?
稲垣:そこはやはり分業してますね。SMB・MMのメンバーは、SaaS営業的な活動がメインになります。ENTは半々ですかね。
田口:そこは役割を分けているんですね。
稲垣:ただそこは本人の意思・特長と、事業の状況次第で、どんどん変化していければ良いかなと思っています。今はSaaS営業中心だったメンバーが業務提携先のチームに入って、スマートドライブのレベニューモデルをベースに、提携先の中でその事業に合ったレベニューモデルを一緒に作っていくという事がいくつか始まっています。
田口:移動データを使って業務を改善するのってどれくらいリテラシーが必要なんですか。総務部門の方々が簡単に扱えるものなのでしょうか。
稲垣:シガーソケットに専用のデバイスを挿したり、ドライブレコーダーを設置して、後は管理画面で初期設定するだけです。後は運転したら勝手にデータが蓄積されていきます。それで今どの車がどこを走っているか、危ない操作があったら検知して、運転日報が自動作成されたり。例えばこの運転日報って、5台以上車を持っている企業は、毎日運転した人が日報を書いて、上司がそれを確認して、更に1年以上保管していなければならないんですよね。
田口:そうなんですね!馴染みが無いので全く知らなかったです。
稲垣:まずは事故を減らす、車にまつわる業務の効率を上げる。その上で、お客様の事業によっては、営業拠点・配送拠点の役割分担を見直して無駄を無くす、コロナ禍でダブついた車を減らしたり足らないところに再配置する、レンタカーだったら程良い走行距離で中古車として販売すると利益が最大化されるのでその瞬間に売る、保険だったら安全運転の度合いに応じた保険料を提供するとか、業務改善ではなくお客様の事業のかなり根幹のところまで関わっていく事も結構あります。
田口:そうなんですか。そこまではイメージできていなかったですね。移動データって結構使い所あるんですね。御社のようなサービスがこれまで存在していなかったのかなと不思議に思いました。競争環境はどうなんでしょうか。
稲垣:大手のリース会社さんをはじめとして十数年前からこの手のサービスは存在していまして、最近は弊社のようなクラウド型の車両管理サービスもたくさんあります。
田口:実際ちょっとこういう聞き方をしていいのか分からないですけど、コンペで負ける時はどういう理由で負けるんですか。それとも「いや負けません」という感じなのか。
稲垣:もちろんコンペでスマートドライブを選んでもらえない事はあります。失注理由で一番多いのは他社というよりも「何もしない」ですかね。実際総務部門の方って色々な業務を掛け持ちしていたり、本当に忙しいんですよね。
何か問題が起きてしまってから検討を始めたり、移動データを活用する事で総務部門というよりも部門横断で大きなメリットがあるけどそこにまだ気づいていないという事もあります。
田口:コンペで負けるっていうよりかは、意思決定されないとか、何もしないとか。
稲垣:はい、そうですね。あとは廉価で機能が限られたものでも十分なので、と選んでいただけないような事もありますけどね。
田口:なるほど。ここから少し角度を変えた質問になりますけど、営業責任者として、さきほども出てきたようなセールスフォースのようなセールステックの活用とか、オペレーションについてもお話をお聞きしてもよいですか?前職で上司だったら福田さんが社外取締役をしていますよね。
稲垣:はい、そうですね。
田口:マルケトで活躍されていたメンバーが沢山在籍していると思うのですが、外から見てるとセールスオペレーションがかなり研ぎ澄まされてるような感じを受けているんですけど、この辺りはどう見えているのでしょうか。
稲垣:手前味噌で恥ずかしいんですけど、かなり高いと思っています。これはいくつか理由があるのですが、ひとつはプロダクト・事業・組織が比較的シンプルで、ほとんどゼロから仕組みを作っているからです。もう一つあると思っているのは、マルケトやメガベンチャーに在籍してセールステック活用に長けているメンバーがミドルマネジメントに多いのもあって、仕組みの背景にある考え方しっかり浸透している事も大きいのではないかと思います。ツールだけ入れても全然活用が進まないという事はよくあると思うので。
田口:こんなことできてるんですよ、みたいなものを一つ自慢するとしたらどういう感じですか。
稲垣:一つ一つ当たり前のことを当たり前のようにやっている、ということですかね。一番大切で、かつ難しいことかなと思っていまして。例えば、商談がフェーズ管理されていて、必要な頻度でしっかり更新されています。商談はフェーズ・金額・ネクストアクションが、更に一定規模以上の商談はお客様の課題・提案方針等が随時更新されている。あとは毎週月曜にチームミーティングでメンバー一人一人が目標・コミット金額・ベストケース金額・ギャップを埋めるためのアクションプランを発表しています。
田口:あと、採用の話ですが、パフォーマンスが出る人出ない人というような話をしたいんですけども、 こういう人は合わないですよっていうのは明確にした方が良いと思っていて。
稲垣:そうですね、ひとつ挙げると、スマートドライブって「移動の進化を後押しする」っていう大きなテーマに取り組んでいて、業界のキープレイヤーとの取り組みが日々オープンになったり、個として立っている人が結構いるので、外から見ると華やかな部分があるのかなと思うんですよね。勿論それは事実ではあるのですが、一方で高い目標を立てて事業を一気に伸ばしていくという事を必死にやっていて。
この二つは完全に整合していて、実現したい世界をつくるためにはやり切らないといけないんですけど、それなりに距離感はあって。それをどうすれば良いかを自分で考えて行動できる人には、最高の環境だと思うんですよね。そういうマインドセットの人は、一気に成長しますし、活躍しているなと思います。
一方で、それはちょっとチャレンジングすぎるかなとか、もう少し決められた事をしっかりやっていきたいというマインドセットの人は、勿論それでも楽しく仕事はできると思いますが、もしかするとミスマッチが起きる事があるかも知れないですね。どちらが良い悪いという話ではなく。
今までやってきた事を一回アンラーンして、初心に帰って取り組めるかどうかですかね。スキルや成果はマインドセット次第で、後からついてくるところが大きいかなと思います。今まで超大手企業で決まった仕事をしていたような人でも大活躍していますし。
田口:了解しました。今回のインタビューの中でお聞きしたい事は一通りカバーできました、ありがとうございました。
稲垣:ありがとうございました!